【薬剤師国家試験 第111回 問26】Giという伝達係と手をつなぐ受け取り口はどれ?|やさしく解説
第111回薬剤師国家試験(2026年実施)の必須問題・問26です。まずは答えを見ずに、自分ならどれを選ぶか考えてみてください。
問題(第111回 問26)
Gi タンパク質共役型受容体はどれか。1つ選べ。
- アドレナリン α2 受容体
- アセチルコリン M3 受容体
- γ-アミノ酪酸 GABAA 受容体
- ヒスタミン H2 受容体
- インスリン受容体
何を聞いている?
細胞の表面には、外からの合図を受け取る「受け取り口」(受容体)があります。その一部は、細胞の中の「伝達係」(Gタンパク質)と手をつなぎます。この問題は、伝達係のうちGi タンパク質と手をつなぐ受け取り口(Gi タンパク質共役型受容体)を選ぶ問題です。
正解
正解
1 アドレナリンα₂受容体
アドレナリンα2受容体は、Gi タンパク質と手をつなぐ受け取り口です。合図を受けると、Gi タンパク質が、アデニル酸シクラーゼという酵素の働きを抑えます。この酵素は、cAMP(細胞の中で合図を伝える小さな物質)を作る酵素です。その結果、細胞の中の cAMP が減ります。ほかの4つは、Gi タンパク質とは別の方法で合図を伝えます。
選択肢を1つずつチェック
○選択肢1
書いてあることアドレナリンα2受容体(アドレナリンのα₂の受け取り口)
本当はそのとおりです。α2受容体は Gi タンパク質と手をつなぎ、cAMP を減らす方向に合図を伝えます。同じアドレナリンの受け取り口でも、β2受容体は Gs タンパク質と手をつなぎ、cAMP を増やします。α2とβ2で向きが逆です(同じαでもα1はGqです)。
✕選択肢2
書いてあることアセチルコリンM3受容体(アセチルコリンのM3の受け取り口)
本当はGi ではなく、Gq タンパク質と手をつなぎます。Gq タンパク質はホスホリパーゼCという酵素を働かせ、細胞の中のカルシウム(Ca2+)を増やす合図につなげます。だ液の分泌や、平滑筋(内臓の筋肉)の収縮に関わります。
✕選択肢3
書いてあることγ-アミノ酪酸(GABA)のGABAA受容体
本当はGタンパク質共役型ではありません。イオンチャネル型受容体といって、受け取り口そのものが塩化物イオン(Cl–)の通り道になっています。合図を受けると通り道が開き、Cl–が細胞に入ります。伝達係の Gi タンパク質は使いません。
✕選択肢4
書いてあることヒスタミンH2受容体(ヒスタミンのH2の受け取り口)
本当はGi ではなく、Gs タンパク質と手をつなぎます。Gs はアデニル酸シクラーゼを強めて cAMP を増やす方向に働きます。胃の壁細胞で、胃酸を出す合図に関わります。
✕選択肢5
書いてあることインスリン受容体
本当はGタンパク質共役型ではありません。受け取り口そのものが酵素(チロシンキナーゼ)を持つ「受容体型チロシンキナーゼ」です。合図を受けると、受け取り口自身がたんぱく質にリン酸をつけて、合図を伝えます。
ひっかけポイント
M3(Gq)とH2(Gs)も、Gタンパク質と手をつなぐ受け取り口です。「Gタンパク質共役型かどうか」だけで選ぶと迷います。問われているのは、どの伝達係か(Gi)です。
これだけ覚えよう
ことばメモ
| ことば | やさしい意味 |
|---|---|
| 受容体(受け取り口) | 細胞の外から来た合図(ホルモンや神経伝達物質など)を受け取るたんぱく質です。多くは細胞の表面にあります。 |
| Gタンパク質(伝達係) | 受容体が受けた合図を、細胞の中へ伝えるたんぱく質です。Gs・Gi・Gq などの種類があります。 |
| Gi タンパク質 | アデニル酸シクラーゼを抑えて、cAMP を減らす方向に合図を伝える G タンパク質です。 |
| cAMP(環状AMP) | アデニル酸シクラーゼが ATP から作る、細胞の中で合図を伝える小さな物質です。 |
| イオンチャネル型受容体 | 受け取り口そのものがイオンの通り道になっているタイプです。合図を受けると通り道が開きます。 |
出典:厚生労働省ホームページ「第111回薬剤師国家試験問題及び解答」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成。問題文・選択肢の文言は原文のとおりに転記しています(PDFの下付き・上付き文字は再現し、改行位置や字組みは当ページ用に組み直しています)。正解の番号は厚生労働省が公表した正答に基づきます。解説は当サイトが独自に作成したもので、国が作成・確認したものではありません。
