薬学部5年生の実務実習とは?スケジュール・つまずきやすい点・勉強との両立

監修久松 賢三ウェルズ家庭教師センター センター長プロフィール
最終更新: 2026-08-23

薬学部5年生の実務実習は、薬局と病院でそれぞれ11週間ずつ、計22週間にわたって現場で学ぶ薬学教育の中心的なカリキュラムです。CBT・OSCEに合格した学生だけが参加でき、実習の時期は大学ごとに第Ⅰ期〜第Ⅳ期のいずれかに割り振られるため、5年生の1年間は「実習をこなしながら、学内科目と国試の基礎をどう維持するか」が最大のテーマになります。

この記事では、実務実習の全体スケジュール、つまずきやすいポイント、そして実習と並行して落としやすい勉強面のケアについて、5年生の1年間を見通せるように整理します。

実務実習の全体像:薬局・病院の2期制と年間スケジュール

実務実習は「薬局実習11週間」と「病院実習11週間」の2本立てです。多くの大学では年間を4つの期に区切り、学生ごとに担当の期が割り当てられます。おおまかな時期の目安は次のとおりです。

おおよその時期備考
第Ⅰ期2月下旬〜5月上旬4年生の学年末から始まるパターン
第Ⅱ期5月下旬〜8月上旬前期の学内授業と重なりやすい
第Ⅲ期8月下旬〜11月上旬夏休みが実質的に短くなる
第Ⅳ期11月下旬〜2月上旬年をまたぐ・6年生直前まで実習

「薬局→病院」の順で連続する学生もいれば、間に学内期間を挟む学生もいます。ここで押さえておきたいのは、どの期に当たるかで1年間の勉強計画がまったく変わるという点です。たとえば第Ⅰ期・第Ⅱ期に実習が終わる学生は後半を卒業研究と国試基礎に充てられますが、第Ⅳ期の学生は「6年生になる直前まで実習」という状態になるため、実習前の貯金がそのまま6年生のスタートラインを左右します。自分の期が決まったら、まず年間カレンダーに実習・学内科目・卒業研究の3つを書き込んで、空白期間がどこにあるかを可視化しておくことをおすすめします。

実習前に求められる準備と直前の総復習ポイント

実務実習に参加するには、4年次のCBT(知識を問うコンピュータ試験)とOSCE(技能・態度を問う客観的臨床能力試験)の両方に合格していることが前提です。加えて、各大学で事前学習(プレ実習)が組まれており、調剤・監査・服薬指導・無菌操作などの基本手技を学内で一通り練習してから現場に出ます。

直前の総復習として優先度が高いのは、次の3つです。

1. 主要疾患の治療薬を「商品名で」引き直す

大学の講義は一般名中心ですが、現場の処方箋やカルテには商品名が並びます。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喘息など頻度の高い疾患について、代表的な薬を商品名と一般名のセットで確認しておくと、実習初週の負担が大きく減ります。

2. 計算問題の型を復習する

散剤の秤取量、注射剤の希釈、点滴速度などの計算は、実習中に指導薬剤師から口頭で問われやすい部分です。CBT対策で使った問題集の計算分野だけでも解き直しておくと安心です。

3. 保険調剤・医療制度の基本用語を押さえる

処方箋の様式、疑義照会、薬歴、かかりつけ薬剤師など、講義では流してしまいがちな制度用語が、薬局実習では毎日の会話に出てきます。用語の意味だけでも整理しておきましょう。

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実習中につまずきやすい点:日誌・指導薬剤師との関係・体力面

実務実習で学生が消耗する原因は、意外にも「知識不足」そのものより、日々の運用面にあることが多いです。

日誌・実習記録の負担。毎日の実習記録(日誌)は、その日の実習内容と学んだことを言語化して提出するもので、慣れないうちは1日分に1〜2時間かかることも珍しくありません。コツは「その場でメモ、帰宅後は清書だけ」に分けることです。実習中にキーワードだけでも控えておけば、夜にゼロから思い出す時間がなくなります。日誌を溜めると週末が丸ごと潰れ、勉強時間が消えるので、当日中に書き切る習慣が結局いちばん楽です。

指導薬剤師との関係。指導薬剤師は通常業務と並行して学生を見ているため、質問のタイミングに気を使う場面が多くなります。萎縮して質問できないまま日数だけ過ぎるのが典型的なつまずき方です。「後でまとめて聞きたいことリスト」を作っておき、手が空いたタイミングでまとめて質問する形にすると、相手の負担も自分のストレスも減ります。相性がどうしても合わない場合は、抱え込まずに大学の実習担当教員に早めに相談してください。大学側には調整の窓口があります。

体力面と生活リズム。実習は週5日、朝から夕方まで立ち仕事が中心です。通学より早い起床、慣れない環境での緊張が重なり、最初の2〜3週間は帰宅後に何もできないほど疲れる学生が多いです。この時期に「帰宅後も2時間勉強する」といった無理な計画を立てると、達成できない自己嫌悪だけが残ります。序盤は日誌+30分の復習程度に絞り、体が慣れてきた中盤以降に勉強量を戻すほうが現実的です。

実習と並行して落ちやすい学内科目・国試基礎をどう維持するか

5年生の勉強面で怖いのは、実習そのものより「実習していない期間の学内科目」と「4年次までの基礎知識の抜け」です。

まず学内科目について。実習期間外には講義・演習・卒業研究が入りますが、実習の疲れや解放感から出席や課題が疎かになり、5年次の単位を落とすケースがあります。5年生での単位の取りこぼしは6年生の負担に直結し、最悪の場合は留年・卒業延期の入り口になります。実習が終わった直後の学内期間こそ、気を抜かずに出席と課題を最優先にしてください。

次に国試基礎の維持です。実務実習は薬物治療や法規・実務の生きた勉強になる一方で、物理・化学・生物といった基礎科目には一切触れない期間が22週間続きます。6年生になってから「基礎系を全部忘れている」と気づくのが、国試対策で出遅れる典型パターンです。

維持のコツは、量を求めないことです。実習期間中は1日20〜30分、過去問ベースで基礎3科目(物理・化学・生物)だけを回す。それ以上はやらなくて構いません。通勤電車で一問一答アプリを開く、寝る前に過去問5問だけ解く、といった「ゼロにしない仕組み」を作れるかどうかで、6年生春の学力に大きな差がつきます。逆に、薬理・薬剤・病態は実習中に現場で目にする内容とつながるので、実習で出会った薬をその日のうちに調べる習慣をつければ、机に向かわなくても自然に強化されます。

実習後〜6年生への接続で、5年生のうちにやっておくこと

6年生は卒業研究(卒論)・卒業試験・国家試験が一気に押し寄せる学年です。5年生のうちに次の3つを済ませておくと、6年生の負担が目に見えて軽くなります。

卒業研究をできる範囲で前倒しする。研究室によって進め方は違いますが、実験データの取得や文献調査など、5年生のうちに進められる部分は進めておきましょう。6年生の秋に卒論と国試勉強が正面衝突するのが、いちばん苦しいパターンです。

模試を1回受けて現在地を知る。5年生の後半には受験できる全国模試があります。点数が低くても構いません。「どの科目がどれだけ抜けているか」を6年生になる前に数字で知っておくことが目的です。

抜けの大きい科目を1つだけ潰しておく。模試や実習中の手応えで「特に危ない科目」が見えたら、6年生になる前の春休みに1科目だけ集中的に立て直します。全科目を一気にやろうとすると挫折するので、最も足を引っ張っている1つに絞るのがポイントです。

実務実習は大変な期間ですが、現場で薬が使われる文脈を体感できる、6年間で唯一の機会でもあります。実習で得た実感と、途切れさせない最低限の基礎維持。この2つを両立できれば、5年生の1年間は国試に向けた大きな財産になります。

もし「実習と勉強の両立がうまく回らない」「基礎科目の抜けが自分では立て直せない」と感じている場合は、薬学部の進級・国試対策を専門とするプロ家庭教師に相談するのも一つの方法です。当センターでは、実習期の限られた時間に合わせた個別の学習計画から指導まで、マンツーマンでサポートしています。あわせて、以下の記事も参考にしてください。

※実務実習の期別・日程・要件は大学や年度によって異なります。最終的な確認は、所属大学の実習要項および薬学共用試験センター等の公式情報で行ってください。

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