薬学部の留年率・卒業率の調べ方:修学状況データの見方と数字の裏側

監修久松 賢三ウェルズ家庭教師センター センター長プロフィール
最終更新: 2026-08-17

薬学部の留年率・卒業率は、文部科学省が毎年公表している「薬学部教育の状況(修学状況調査)」で、大学ごとの数字を誰でも無料で確認できます。ネット上の「〇〇大学は留年率が高い」という噂を信じる前に、まずこの一次データの見方を覚えるのが確実です。この記事では、公式データの探し方と読み方、そして「留年率が高い大学」の在学生が当センターの指導で実際に立て直した記録をご紹介します。

留年率はどこで公表されているか:文科省「修学状況調査」の見方

大学別の留年・卒業データの正式な出どころは、文部科学省が毎年公表している薬学部(6年制)の修学状況に関する調査です。手順は次のとおりです。

手順やること
1検索エンジンで「文部科学省 薬学部 修学状況」と検索する
2文科省サイト内の「薬学部教育の状況」等のページを開く(必ずドメインが mext.go.jp であることを確認)
3最新年度のPDF・Excel資料を開き、調べたい大学の行を見る
4「入学者数」「標準修業年限(6年)での卒業者数」「留年・休学・退学者数」の列を確認する

この資料の強みは、大学が個別に公表するデータと違って全大学が同じ様式で並んでいることです。入学した学年のうち何人がストレートで6年後に卒業したか(ストレート卒業率)、途中で留年・退学がどれだけ出ているかを、大学同士で同じ物差しで見比べられます。あわせて厚生労働省が公表する薬剤師国家試験の大学別合格率(新卒・既卒別)も見ておくと、後述する「数字の裏側」が読めるようになります。年度や様式は変わることがあるので、必ず最新の公表資料をご自身で確認してください。

「留年率が高い=悪い大学」ではない:数字の裏側にある進級判定の考え方

検索すると「京都薬科大学 留年率」「北里大学 薬学部 留年率」のように大学名とセットで調べる方が非常に多いのですが、先に押さえておきたいのは、留年率の高さがそのまま教育の質の低さを意味するわけではない、ということです。

薬学部の進級判定の厳しさは大学ごとに設計思想が違います。低学年から厳しく判定して、国家試験に届く学力の学生だけを上の学年に上げる大学もあれば、進級は比較的通しやすくして6年次の卒業試験で絞る大学もあります。前者は留年率が高く出やすい一方で、卒業までたどり着いた学生の国試合格率は高くなりやすい。後者は途中の留年率が低く見えても、最終学年で卒業延期(卒延)が集中することがあります。つまり、留年率だけを切り取って大学に優劣をつけるのは、データの読み方として正確ではありません。留年率・ストレート卒業率・国試合格率の3つを必ずセットで見る、というのがこの調査の正しい使い方です。

個別相談|薬学部卒業 家庭教師センター 留年率、正しい見方はできていますか。
データの読み方から今の立ち位置まで一緒に確認します。 くわしく見る →

数字の読み方3つのポイント:学年の壁・ストレート卒業率・年度ブレ

実際にデータを読むときは、次の3点を意識すると噂に振り回されなくなります。

ポイント内容
学年別の壁を見る留年は全学年で均等に起きるのではなく、1年(有機化学・物理化学など基礎科目)、4年(CBT・OSCE前)、6年(卒業試験)に壁ができやすい。自分がどの壁の手前にいるかを知ることが対策の第一歩
ストレート卒業率と併読する単年の留年率よりも、「入学者のうち6年で卒業できた割合」のほうが実態を表す。留年率が低くても退学が多ければストレート卒業率は下がる
年度ブレを差し引く1学年の人数が少ない大学は、数人の増減で率が大きく動く。単年の数字で騒がず、複数年度を並べて傾向で見る

この3点で読めば、「今年の留年率が上がった」という単発の数字に一喜一憂せず、その大学がどこで学生を絞る設計なのかが見えてきます。

実例:留年率が話題になる大学で、実際に立て直した学生の記録

数字の話だけで終わらせず、当会に実際にあったご相談をご紹介します。いずれも検索で「留年率」が話題になりやすい大学の在学生でした。

星薬科大学3年生の方は、1年次から有機化学・物理化学の単位を引きずり、大学から「このままでは卒業が難しい」と告げられた状態でのご相談でした。週2回の対面指導で基礎概念を整理し直し、問題集1冊の反復と進捗の見える化を徹底した結果、4か月で有機・物化とも80点を超え、進級して研究室配属まで進みました。詳しくは指導実例:基礎科目のつまずきから進級・卒業への再挑戦をご覧ください。

東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)4年生の方は、暗記型の勉強が限界を迎え、物理化学・生物が分からず進級の危機にありました。週2回の対面指導で、反応機構や代謝経路を自分で図に描いて説明する訓練に切り替え、得点や睡眠時間まで記録して可視化した結果、卒業試験は全科目合格、国家試験も一発合格して薬局薬剤師として働いています(指導実例:東北薬科大学4年生の立て直し)。

日本大学6年生の方は卒業延期からのスタートで、化学を中心に複数科目が崩れ模試も下降していました。週2回90分の演習と週1回のオンラインで知識を一本の軸でつなぎ直し、3か月で化学の過去問正答率9割超。卒業試験に一発合格し、国家試験では化学をほぼ満点で通過しました(指導実例:卒延からの逆転劇)。また城西大学6年生の方は、秋入会という半年遅れのスタートから基礎の抜けを埋め直し、国家試験258点で合格しています(指導実例:8月からの逆転合格)。

4人に共通するのは、「大学の留年率が高いから無理」なのではなく、崩れている科目と原因を特定して勉強のやり方を変えれば、進級判定が厳しい大学でも立て直せる、ということです。

いま在学中で数字が気になる人へ:自分の学年の危険サイン

大学全体の留年率を調べるより大事なのは、自分自身の現在地です。次のうち2つ以上当てはまるなら、学年の「壁」に阻まれる手前のサインだと考えてください。

学年危険サイン
1〜2年有機化学・物理化学が「暗記でしのいでいる」自覚がある/再試験が2科目以上ある
3〜4年低学年で落とした科目の内容が今の科目の足を引っ張っている/CBT模試の点が伸びない
5〜6年模試の点が下降している/卒業試験の過去問で合格ラインに届かない科目が複数ある

すでに留年が決まってしまった方は、留年は何回までできるのか、原級・休学との違いと立て直し方にまとめています。まだ決まっていないけれど不安、という段階なら、崩れている科目が1つのうちに手を打つのが最も傷が浅く済みます。当会では現在の答案や成績表をもとに、どこから立て直すかを無料でご相談いただけます。無料相談はこちらからお気軽にご連絡ください。

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