薬学部の大学別卒業率・進級率の見方|文科省2025年度データと確認すべきこと

大学別の数字は、同じ入学者集団を追った「進級・実習・卒業・国試」と、別集団の「2025年国試新卒合格率」を分けて読みます。1つの率だけで大学を順位づけせず、どの段階で人数が変わったか、分母・年度・大学の制度を確認します。入学前も在学中も、学生便覧・進級規程・実習要件・卒業認定・支援窓口を大学の最新資料で確かめることが大切です。

要するに

  • 大学別の数字は、同じ入学者集団を追った「進級・実習・卒業・国試」と、別集団の「2025年国試新卒合格率」を分けて読みます。
  • 1つの率だけで大学を順位づけせず、どの段階で人数が変わったか、分母・年度・大学の制度を確認します。
  • 入学前も在学中も、学生便覧・進級規程・実習要件・卒業認定・支援窓口を大学の最新資料で確かめることが大切です。

この表で分かること、分からないこと

文部科学省は、6年制薬学部について、入学定員充足率、5年次進級率、実習修了率、卒業率、薬剤師国家試験合格率などを大学別に公表しています。本ページでは、2025年(令和7年)度調査結果の原表から、比較時に特に確認したい列を機械的に転記しました。

数字から分かるのは、ある年度の入学者集団が、調査上の各時点でどの程度在籍・修了・合格に至ったかという「結果」です。一方、数字だけでは、カリキュラムの内容、進級判定の時期、再試験の制度、学生本人の事情、大学の支援内容など、結果の理由までは分かりません。

したがって、この表は「どの大学が上か」を決めるランキングではなく、大学へ追加で何を確認するかを見つけるための入口として使います。

まず列の意味をそろえる

1. 2025年度 入学定員充足率

2025年度の入学者数 ÷ 入学定員です。100%を超える場合は入学者数が入学定員を上回り、100%未満の場合は下回ったことを示します。教育の質、学生の学力、将来の卒業率を直接示す指標ではありません。

北海道大学、東京大学、金沢大学など、入学後に所属が決まる仕組みや一括募集がある大学には原表独自の注記があります。大学間で単純比較せず、表の注記も合わせて確認してください。

2. 2019年度 入学時人数

原表で2019年度入学生を追跡するときの基準人数です。編入学者は含まれません。入学時に6年制課程への所属が決まっていない大学は、6年制課程への在籍が決定した時点の人数が使われます。

3. 5年次進級率

2019年度入学者について、2023年度に5年次へ進級した人数を基に文部科学省が算出した率です。原表注記では、留年・休学者と編入学者を除いて算出するとされています。単純な「5年次人数 ÷ 入学時人数」として見るだけでなく、この除外条件を前提にします。

4. 実習修了率

2019年度入学者を基準に、6年次までに薬学実務実習を修了した学生数の累計から算出された率です。実習へ進むための学内要件、共用試験、再履修の扱いは、この率だけでは分かりません。

5. 標準修業年限内卒業率

原表の列名は「卒業率」です。本ページでは意味を明確にするため、2019年度入学時人数に対する2024年度卒業者数の率を「標準修業年限内卒業率(原表『卒業率』)」と表記します。6年を超えて卒業した人や、その後に国家試験へ合格した人を含む最終的な到達率ではありません。

6. 入学者基準 国試合格率

2019年度入学時人数に対する、その集団の薬剤師国家試験合格者数の率です。入学から国試合格までを同じ分母で見るため、途中の進級・実習・卒業を含む流れを考える手掛かりになります。

7. 2025年国試 新卒合格率

2025年薬剤師国家試験(第110回)の新卒受験者数に対する新卒合格者数の率です。こちらの分母は「国試を受験した新卒者」であり、「2019年度入学者」ではありません。入学者基準の合格率と値が大きく違っても、直ちに矛盾ではありません。

数字を読むときの5つの順序

1. 最初に分母を見る

率だけでなく、2019年度入学時人数も確認します。分母が小さい場合は、数人の違いが率へ大きく反映されます。

2. 同じ集団の流れを見る

2019年度入学時人数を起点に、5年次進級、実習修了、標準修業年限内卒業、国試合格の順で見ます。どこで率が変化しているかは、追加確認する制度を決める手掛かりになります。ただし、変化の理由を表だけから断定してはいけません。

3. 最新年度と追跡年度を混ぜない

入学定員充足率は2025年度の入学状況、進級・卒業・入学者基準国試合格率は主に2019年度入学者、2025年国試新卒合格率は2025年の新卒受験者が対象です。1行に並んでいても、全てが同じ学生集団の数字ではありません。

4. 1年度だけで傾向を決めない

教育課程、進級規程、募集定員、学生構成は変わることがあります。志望校を検討するときは、文部科学省の過年度資料や3か年平均資料、大学が公表する最新情報も合わせて確認します。

5. 数字の次に制度を確認する

率は「質問を作る材料」です。例えば、5年次進級率が気になったら、進級要件、再試験、再履修、留年時の履修方法、学習支援を確認します。新卒国試合格率が気になったら、卒業認定と国試出願・受験の関係を確認します。

大学別データ表

転記元: 文部科学省「薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果」(2025年5月1日現在、2026年1月の更新事項反映版)

表の注記

  • 「—」は0ではなく、採用した原表の該当欄が空欄または「-」の箇所です。推定値で補っていません。
  • 2019年度入学生に関する主要列が原表で空欄だったのは、和歌山県立医科大学、国際医療福祉大学(成田薬学部)、順天堂大学、湘南医療大学、岐阜医療科学大学、国際医療福祉大学(福岡薬学部)です。岐阜医療科学大学の2025年国試新卒合格率67.9%は原表に値があるため、その列だけ転記しました。
  • 徳島文理大学(香川薬学部)の2025年国試新卒合格率は原表が空欄です。
  • 姫路獨協大学の2025年度入学定員は、文部科学省の2026年1月19日更新で「-」に修正されています。このため入学定員充足率も「—」としました。
  • 千葉大学は6年制・4年制の一括募集に関する原表の別行があります。本表の2025年度入学定員充足率は、原表でNo.3の6年制欄に示された100.0%を転記しています。
  • 北海道大学、東京大学、金沢大学の2025年度入試・充足率は、総合入試、類別入試、一括入試等に関する原表注記の影響を受けます。率だけを他大学と直接比較しないでください。
  • 原表の率は小数第1位表示です。合計行は大学別の丸め済み率を平均したものではなく、文部科学省が原表に掲載した国公私計を転記しています。

入学前に追加で確認したい項目

数字を見て志望校が気になったときは、大学公式サイト、最新の学生便覧・履修要項、入試説明会、教務窓口などで次を確認します。

進級・再試験・再履修

  • 各学年の進級に必要な単位数と必修科目
  • 不合格科目がある場合の再試験・追試・再履修の条件
  • 進級判定の時期と、1科目不合格の場合の扱い
  • 留年した場合に履修できる科目、在籍上限、学費の扱い
  • 規程が入学年度別に異なるか

CBT・OSCE・実務実習

  • CBT・OSCEを受けるための学内要件
  • 不合格時の再受験時期と、その後の実習日程への影響
  • 実務実習へ進むために必要な単位・判定
  • 実習延期・中断時の復帰手続きと相談窓口

卒業認定と国家試験

  • 卒業に必要な単位、卒業研究、卒業試験の位置づけ
  • 卒業試験がある場合の回数、再試験、評価方法
  • 卒業認定の時期と国家試験の出願・受験との関係
  • 既卒者向けの学習支援や情報提供の有無

学習支援

  • 低学年からの基礎科目支援、補講、質問対応
  • 成績不振を早期に知らせる仕組み
  • 担任・アドバイザー・学習相談室の利用方法
  • 体調、障害、家庭事情などが生じた場合の修学支援

大学へ問い合わせるときは、「卒業率が低いのはなぜですか」と原因を決めつけるより、「2026年度入学者に適用される進級規程はどれですか」「再試験後も必修科目が不合格の場合、次年度の履修はどうなりますか」のように、対象年度と制度を具体的に尋ねる方が確認しやすくなります。

在学中に追加で確認したい項目

在学生は、入学時にもらった資料だけで判断せず、自分の入学年度に適用される最新の規程と教務からの通知を確認します。

  1. 現在地を単位で確認する
    修得済み単位、未修得の必修科目、先修条件、進級判定対象科目を一覧にします。
  2. 締切と再挑戦の機会を日付で確認する
    本試験、追試、再試験、再履修登録、CBT・OSCE、実務実習、卒業判定の時期をカレンダーに置きます。
  3. 口頭説明を規程と照合する
    学年や入学年度によって制度が異なることがあります。教員や先輩の説明だけでなく、学生便覧、履修規程、教務からの文書で確認します。
  4. 困る前に相談経路を確保する
    科目担当、担任・アドバイザー、教務、学生相談、合理的配慮の窓口など、相談内容ごとの連絡先を把握します。
  5. 数字を自分の予測に直結させない
    大学別の過去データは、自分個人の進級や合否を決めるものではありません。現在の履修状況と、適用される制度を基に行動計画を立てます。

大学公式情報を探す検索語

大学名と次の語を組み合わせると、確認に必要な資料へたどり着きやすくなります。

  • 大学名 薬学部 学生便覧
  • 大学名 薬学部 履修規程 進級要件
  • 大学名 薬学部 CBT OSCE 実務実習 要件
  • 大学名 薬学部 卒業認定 卒業試験
  • 大学名 薬学部 学習支援 相談

検索結果では、資料の発行年度、自分の入学年度への適用、学科が6年制か4年制かを確認します。公開資料で判断できない場合は、大学の教務窓口へ確認します。

よくある質問

Qどの数字を最優先で見ればよいですか?+
1つだけを最優先にするのではなく、目的に合わせて組み合わせます。入学から卒業・国試までの流れを見たい場合は、2019年度入学時人数を共通の起点にした5年次進級率、実習修了率、標準修業年限内卒業率、入学者基準国試合格率を順に確認します。直近の新卒受験者の試験結果を知りたい場合は、2025年国試新卒合格率を見ますが、分母が違うことを忘れないでください。
Q新卒国試合格率が高ければ、入学者の多くが6年で卒業したと考えてよいですか?+
いいえ。新卒国試合格率の分母は、その年に国家試験を受験した新卒者です。入学者全体を分母にしていないため、標準修業年限内卒業率とは別に確認する必要があります。
Q入学定員充足率が100%を超えていれば教育の質も高いですか?+
そのようには言えません。入学定員充足率は、その年度の入学定員に対して何人が入学したかを表す数字です。教育内容、支援体制、進級・卒業のしやすさを直接表すものではありません。
Q「—」は0%ですか?+
いいえ。本表の「—」は、採用した文部科学省原表で該当欄が空欄または「-」だったことを示します。0.0%と記載されたセルは、原表に0.0%とある場合だけそのまま転記しています。
Qこの表だけで志望校を決められますか?+
この表だけでは決められません。通学、学費、教育内容、実習環境、進級・卒業認定、学習支援、自分の希望する進路なども確認してください。数字は大学へ具体的な質問をするための材料です。

データの限界

  • 主な進級・卒業・入学者基準国試合格率は、2019年度入学者という1つの集団を中心にした結果です。別年度も同じ結果になるとは限りません。
  • 入学定員充足率は2025年度、2025年国試新卒合格率は第110回国家試験の新卒受験者が対象で、2019年度入学者の追跡列とは分母・時点が異なります。
  • 留年、休学、退学、転学、復学、編入などの扱いを、この抜粋表だけで全て追うことはできません。
  • 大学ごとの制度差や結果の原因は、この数字だけでは判断できません。
  • 原表が空欄のセルは推定せず、「—」としています。
  • 文部科学省資料は更新されることがあります。利用時には出典ページの更新事項と最新版PDFを確認してください。

本ページには実在の学生・家庭・大学に関する事例や体験談を掲載していません。

出典一覧

主出典(大学別表と列定義)

  1. 文部科学省「薬学部における修学状況等」
    https://www.mext.go.jp/a_menu/01_d/1361518.htm
  2. 文部科学省「薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果」(調査基準日: 2025年5月1日、採用版: 2026年1月更新事項反映版)
    https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_igaku-100000059_03.pdf
  3. 文部科学省「薬学部における修学状況等調査結果の更新について」(2025年度調査に関する更新日: 2025年11月4日、11月5日、2026年1月15日、1月19日)
    https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_igaku-100000059_06.pdf

補助出典(複数年度で読むための資料)

  1. 文部科学省「薬学教育」
    https://www.mext.go.jp/a_menu/01_d/08091815.htm
  2. 文部科学省「薬学部の6年制課程における大学(学部)別の修学状況等(2025年度)」(2025年度公表の3か年平均等を確認するための補助資料。本文の大学別表の数値転記には使用していません)
    https://www.mext.go.jp/content/20251104-mxt_igaku-100000058_05.pdf