薬学部の留年は何回まで?原級・休学との違いと立て直し方
まず、数字で知っておいてほしいこと
進級判定の結果を、何度も見返した人もいると思います。数字は変わらないのに、これからの学費のこと、家族への説明のことばかりが頭を巡る——そんなときこそ、先に一つだけ事実を知っておいてください。
薬学部(6年制)は、構造的に留年が起きやすい学部です。 文部科学省「薬学部における修学状況等調査結果(令和7年度)」(81大学・学部が対象)では、標準の6年間で卒業できた人の割合(標準修業年限内卒業率)は全国平均で67.7%。つまり平均でも入学者のおよそ3割が、6年では卒業できていません。大学によっては卒業率が3割台にとどまる学校もあります。
→ 大学別の実数はこちらで整理しています: 薬学部の卒業率データ(文科省公表資料を大学別に整理)
つまり、あなたの大学の在学年限や進級要件が厳しければ、留年は「一定数起きて当然」の出来事でもあります。もちろん勉強のやり方を見直す必要はありますが、「自分の努力不足だけが原因」と決めつけて自分を追い詰める必要はありません。
まずは落ち着いて、「何回まで留年できるのか」「これから何をすればいいのか」を、この記事で順番に整理していきます。
今週やること気持ちの整理は後回しでいい。まず「在学年限」だけ調べる。
薬学部の留年、何回まで許されるのか
結論から言うと、「何回まで留年できるか」に全国共通の答えはありません。多くの薬学部(6年制)では、標準の6年に加えて留年・休学を含めて在学できる年数の上限=「在学年限」が定められており、多くの大学で8〜10年程度です。ただし年数の上限であって、「留年◯回まで」という回数の決まりを設けている大学は多くありません。
つまり、「あと何回留年できるか」は、
- 自分の大学の学則に定められた在学年限
- これまでに休学・留年で使った年数
の2つから逆算しないと分かりません。大学によって規程はかなり異なるため、必ず自分の大学の学生便覧・履修規程を確認するか、教務課に直接聞いてください。学部案内やパンフレットには載っていないことが多く、正確なのは学則・履修規程です。
今週やること学生便覧またはポータルで「在学年限」の項目を検索する。見つからなければ教務課に電話かメールで聞く。
留年・原級・休学の違いを、自分の判断材料に変える
似た言葉が並ぶので、まず意味を整理します。
- 留年: その学年で必要な単位を取得できず、翌年度も同じ学年をやり直すこと
- 原級(原級留置): 留年とほぼ同じ意味で使われる、大学の正式な呼び方。進級判定会議で「進級不可」とされた状態を指すことが多い
- 休学: 病気や経済的事情などで、大学に籍を置いたまま一定期間授業を受けない制度
言葉の違いより大事なのは、この3つが自分の今後にどう影響するかです。判断するときは、次の3つの軸で考えてください。
- 学費: 留年・原級は多くの場合、通常どおり学費がかかります。休学は大学によって学費が減額・免除される場合があります(要確認)
- 卒業時期: 留年・原級は1年遅れることが基本です。休学は休んだ期間分そのまま遅れます
- 国試までの年数: 留年・休学のどちらも、在学年限の枠を使います。休学期間が在学年限に含まれるかは大学差が大きい。決める前にここだけ先に確認。
今週やること自分がこれから直面するのが「留年」か「休学」かを整理し、学費・卒業時期・在学年限への影響を教務課に確認する。
薬学部で留年が多い理由
薬学部(6年制)は、他学部に比べて留年率が高い傾向があると言われています。理由として挙げられることが多いのは次のような点です。
- 進級のたびに必要単位数が多く、1科目でも単位を落とすと進級できない「進級要件」を設けている大学が多い
- 有機化学・生化学・薬理学など、積み上げ型で理解が必要な科目が多く、一度つまずくと後の科目にも影響しやすい
- 4年次の共用試験(CBT・OSCE)、5年次の実務実習、6年次の卒業試験と、節目ごとに関門がある
先ほど紹介した文部科学省データを見ると、大学によって標準修業年限内卒業率には大きな開きがあります(ほぼ全員が6年で卒業する大学もあれば、3割台にとどまる大学もあります)。これは、あなたの努力量だけで説明できる差ではなく、大学ごとの進級判定の厳しさやカリキュラムの構造も影響していると考えられます。
今週やること自分の大学の卒業率・進級率を上記データページで確認し、「自分の大学は厳しめかどうか」の感覚をつかむ。
留年してしまったら、まず何をすべきか
留年が決まった直後は、何から手をつければいいか分からなくなりがちです。落ち着いて、次の順番で確認していくことをおすすめします。
- 在学年限を確認する(教務課・学生便覧)。あと何年在学できるかを正確に把握する
- 留年の原因になった科目を特定する。「なんとなく全部できていない」ではなく、単位を落とした科目を1つずつ洗い出す
- 来年度の履修計画を立て直す。同じやり方を繰り返さないための計画が必要
- 1人で抱え込まない。大学の学生相談室、家族、必要であれば外部のサポートも選択肢に入れる
特に3番目の「勉強のやり方を変える」部分は、独学だけで立て直すのが難しいと感じる人が多いところです。何が分かっていないのかが自分では分かりにくいためです。
今週やること落とした科目を紙に書き出し、単位数・再履修のタイミング・必要な前提科目を1つの表にする。
まとめ
- 「留年何回まで」は大学の在学年限(多くは8〜10年程度)から逆算する。学則・教務課での確認が必須
- 標準の6年で卒業できる人は全国平均で約7割。留年は薬学部では珍しいことではなく、自分の努力不足だけが原因とは言い切れない
- 留年・原級はほぼ同じ意味、休学は学費・在学年限の扱いが大学によって異なる。判断は「学費・卒業時期・国試までの年数」で考える
- 留年の原因を科目単位で洗い出し、履修計画を立て直すことが立て直しの第一歩
記事で整理はできても、「自分の場合、実際に何をどれくらい勉強すればいいか」は、この記事だけでは分かりません。同じ科目でつまずいた学生を見てきた講師と一緒に、まず現状を整理するところから始める方が、遠回りをせずに済みます。
