文系出身・生物選択で薬学部に入ったら:物理・化学の学び直しで進級した実例

監修久松 賢三ウェルズ家庭教師センター センター長プロフィール
最終更新: 2026-08-28

文系出身や生物選択で薬学部に入った場合、最初の壁になるのは物理・化学・数学の「高校範囲の前提差」です。ただし、高校範囲まで戻って正しい順番で学び直せば、進級はもちろん、苦手だった科目を得意科目に変えて国家試験まで到達した実例が実際にあります。

この記事では、当センターで実際にあったご相談のうち、文系出身・生物選択で入学した3人の学生がどこでつまずき、何をどう学び直して進級・合格に至ったかをご紹介します。同じ状況にいる方が「自分はどこから手をつければいいか」を判断できるよう、学び直しの順番も最後にまとめました。

公募推薦・文系出身の入学者が最初に直面する壁

薬学部の1年前期は、高校で物理・化学(とくに理論化学と有機化学)を一通り履修していることを前提に講義が進みます。公募推薦や総合型選抜で入学した場合、あるいは受験科目が生物中心だった場合、この前提が最初から欠けています。

つまずきやすいポイントは大きく3つあります。

科目前提になっている高校範囲つまずく大学科目の例
物理力学・熱・電気の基礎、公式の導出物理化学、物質の状態、放射化学
化学mol計算、化学平衡、有機の官能基有機化学、分析化学、生化学
数学指数・対数、微分の考え方薬物動態、統計、pH計算

やっかいなのは、大学の講義は「わからない人を待ってくれない」ことです。前提が欠けたまま暗記で乗り切ろうとすると、1年前期は何とかなっても、2年次の有機化学・生化学あたりで一気に崩れます。実際、ご相談いただくタイミングとして多いのは、再試・追試が積み重なった1年後期〜2年次です。

実例1:理系未経験の文系出身で再試・追試の山から、卒試上位・国試一発合格へ

1人目は、高校では文系寄りで、公募推薦で薬学部に入学した学生です。1年前期の「物質の状態」「生体エネルギー」といった必修科目で大きくつまずき、講義のスピードについていけず、再試・追試が重なって進級すら危ぶまれる状況でした。本人は「勉強の仕方そのものが間違っているのではないか」と自信を失っていました。

担当講師がまず行ったのは、高校範囲のどこに穴があるかの特定です。そのうえで化学基礎・生物基礎から総点検し、「理解→記憶→応用」の順で積み直しました。構造式や代謝経路はすべて図に書き出して理由づけから理解する、生活リズムと学習をスプレッドシートで連動させて「今やるべきこと」を明確にする、試験直前期は応用問題から逆にさかのぼって穴を埋める——といった進め方です。

結果、再試にすべて合格。かつての苦手だった薬理学はむしろ得意科目になり、6年目の卒業試験を上位で通過、薬剤師国家試験に一度で合格しました。詳しい経過はこちらの指導実例でご覧いただけます。

実例2:文系から理転した特待生が2年次に崩れ、高校物理化学の洗い直しで再試ゼロに

2人目は、文系から理転して千葉科学大学薬学部に特待生として入学した学生です。1年次は学年10位という好成績でしたが、2年次に有機化学・生化学で急に崩れました。黒板の数式や構造式が「目に入った瞬間から意味が取れない」状態になり、複数科目で単位を落として追試・再試に埋もれていました。根本原因は、高校物理が未選択で、有機化学も独学だったことです。

ここで重要なのは、「成績が良かった人でも前提の穴は消えていない」という点です。1年次は暗記量でカバーできても、2年次以降の科目は高校物理・化学の理解を土台に組み上がっているため、穴がそのまま表面化します。

担当講師は「穴は2か所。高校物理化学の基礎と、アウトプット不足」と分析し、週2回の対面指導で高校範囲の物理・化学を徹底的に洗い直しました。特徴的だったのは、公式の導出や単元の要点を「自分の口で説明する」演習を毎回入れたことです。わかったつもりを潰すには、人に説明できるかどうかを試すのが確実です。さらに得意だった薬理を軸に、他分野へ知識をつなぐ橋渡しとして使いました。

結果、3年後期は再試ゼロで進級。卒業試験は一発合格、国家試験では薬理で満点を取り、全体でも安全圏の得点で合格しました。経過の詳細はこちらの実例ページにまとめています。

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実例3:物理未履修で進級失敗、得意な化学をハブにして進級へ

3人目は、化学で受験して合格したものの物理は高校で未履修だった薬学部2年生です。試験科目が10近くある中で、物理系の授業は基礎がないため頻繁につまずき、有機化学や機能形態学の専門用語でも理解が止まり、全科目で成績が伸びずに進級に失敗していました。

この学生の場合、講師が取った方針は「怖い物理は基礎から、得意な化学をハブにして知識をつなげる」というものでした。公式は暗記ではなく導出から理解し、「なぜその式になるのか」を図解で確認する。週2回のオンライン指導で、疑問はその場で解決し、不安を積み残さない。苦手を正面から潰すだけでなく、得意科目を接続点にすることで、バラバラだった10科目近い知識に筋道ができました。

結果は進級達成。3年前期の成績が目に見えて好転し、再試験は半分以下に減り、秋には全教科一発合格に至りました。詳しくはこちらの実例をご覧ください。

学び直しの順番:高校範囲のどこから、週何時間か

3つの実例に共通するのは、「大学の教科書をがんばって読み直す」のではなく、いったん高校範囲まで戻ったことです。遠回りに見えますが、前提が欠けたまま大学の講義資料を読み込むより、結果的にずっと速く進みます。順番の目安は次のとおりです。

段階やること目安
1. 穴の特定落とした科目・再試科目から逆算して、足りない高校範囲を洗い出す最初の1〜2週間
2. 高校化学mol計算・平衡・酸塩基・有機の官能基を、講義で使う順に週3〜4時間×1〜2か月
3. 高校物理力学・熱・電気の基礎。公式は導出から。全範囲は不要で、物理化学・動態に効く単元に絞る週2〜3時間×1〜2か月
4. 大学科目へ接続学び直した内容を、今まさに受けている講義・過去問と結びつける並行して継続

教材は、高校範囲なら講義系の参考書(教科書レベルを丁寧に解説したもの)で十分です。大事なのは教材選びより、「理解→自分の言葉で説明→問題演習」の順を守ることと、定期試験の過去問から逆算して優先順位をつけることです。すべてを完璧にやり直す時間は薬学部にはありません。

ひとつ注意点として、ここに挙げた時間配分はあくまで目安です。大学ごとにカリキュラムも進級基準も違うので、実際の計画はご自身の大学の科目構成と照らして調整してください。

ひとりで戻る範囲を決めるのが難しいときは

学び直しでいちばん難しいのは、勉強そのものより「どこまで戻るかの見極め」です。戻りすぎれば時間切れになり、戻りが浅ければまた同じ場所で崩れます。今回ご紹介した3人も、講師が穴の位置を特定したところから立て直しが始まりました。

当センターの薬学部専門の家庭教師は、文系出身・生物選択の学生の指導経験をもとに、高校範囲のどこから戻るべきかの診断から個別に対応しています。再試や進級に不安がある方は、状況をうかがったうえで学び直しの道筋をご提案しますので、まずは無料相談でお気軽にご相談ください。

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