仙台の春の訪れ

背中を押した、その先で

ある年の春、仙台から一件の相談 が舞い込んだ。

「大学の模試の成績が伸びず、卒試が心配です。特に物理化学や生物が苦手で……」

電話の向こうの声には、切実な不安 が滲んでいた。詳しく話を聞くと、高校時代は暗記中心の勉強で乗り切ってきたが、大学では通用せず、進級できなかった経験が何度かある という。4年生を迎え、卒業試験を意識し始めたものの、何をどう勉強すればいいのかわからず、焦るばかりだった。

薬学部の勉強は単なる暗記では通用しない。 特に、物理化学や生物は、ただ用語を覚えるだけではなく、その仕組みを理解し、理論的に考える力が求められる。 それができなければ、問題を応用することも、試験で高得点を取ることも難しい。

私は、「知識をつなげて考える力」を養える指導が必要だ と考えた。ただ答えを教えるのではなく、なぜその答えになるのかを一緒に考え、理解する力をつけることが最も重要だ。

そこで、薬学部の試験に精通し、特に基礎を重視する講師を紹介 した。この先生は、生徒様がただ暗記するのではなく、原理を理解できるように導く指導 をしてきた経験が豊富だった。

指導が始まると、最初は苦戦していたものの、徐々に変化が見え始めた。

「最初は何をやっても覚えられなかったのですが、先生の説明を聞いて、なぜこの反応が起こるのかが理解できるようになりました」

「今まで問題を解くとき、覚えた知識をそのまま当てはめるだけだったのですが、今は、知らない問題でも考えて解く力がついた気がします」

学ぶ姿勢が変わっていく。 それが、成績向上の兆しだった。

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迎えた卒業試験。模試の成績は決して優秀とは言えなかったが、今までとは違う手応えがあった。苦手だった物理化学や生物の問題にも、「考えて答えを導き出す力」がついていた。 そして、努力の結果、無事に試験を突破し、卒業を果たした。

その後、国家試験にも合格し、今はご両親が経営する薬局で薬剤師として働いている という。

「大学時代に苦しみながら学んだ知識が、今、実際に患者さんと接する中で役立っているのを実感しています」

あのとき、「もう無理かもしれない」と思っていた生徒様が、今、薬剤師として現場に立ち、患者と向き合っている。

家庭教師を紹介し、一歩踏み出すきっかけを作れたことを、本当に良かったと思う。学ぶことを諦めず、最後まで努力し続けたからこそ、今の未来がある。

もしあの時、踏み出せなかったら。もし、もう少し遅かったら。

そう考えると、このタイミングで背中を押せたことが、どれほど大きかったかを改めて実感する。

学び続けること。考える力を育てること。それが、未来を切り開く鍵なのだと、改めて感じた出来事だった。

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